保険との関係
医師あるいは医療機関は、賠償責任保険に加入していることが通常であるため、医療事故と疑われる事例については、保険を用いた対応がなされることが通常です。
この場合、通常の事案であれば、医療機関における事故調査と並行して、最終的な賠償金について、保険から支払うことになる関係上、保険会社において有責・無責の調査が行われます。
この場合、有責・無責について、医療機関の出す結論と、保険会社の出す結論とが異なることもあります。
保険会社が有責と判断した場合でも、医療機関が支払いに応じず、訴訟に移行することもありますし、保険会社が無責と判断した場合でも、諸般の事情を考慮し、医療機関が有責を前提とした裁判外の和解を提案するような場合もあります。
医療機関としては、訴訟になった場合の勝敗の見込み以外にも、同種の医療行為に与える社会的影響や、医療機関の社会的評価(いわゆるレピュテーション・リスク)、経営に与える影響等を総合考慮して、患者からの請求に対する対応を決めることが多いと考えられます。